プリリジーの有効成分であるダポキセチン

プリリジーの有効成分であるダポキセチン 早漏改善成分

ダポキセチンは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み妨害する)と呼ばれる薬のグループに属しており、主要な神経伝達物質のセロトニンの取入れることを妨害する特徴があります。

元々SSRIは、パニック障害やうつ病などの治療薬として使われており、ダポキセチンも同じ目的の薬剤として使用されていました。

しかし、うつ病患者にSSRIの治療として投薬していた結果、患者の中の多くに射精に至るまでのスパンが遅くなるという作用があらわれたため、それが早漏の治療薬として有効性があるのではないかと関心が集まり、さらなる試験や研究・開発が行われていったという経緯があります。

その後、SSRIは数種類ある抗うつ薬の中においては安全性が高く、反作用もあまりないことからSSRIの適応症ではない「早漏の改善」をする目的にも利用されるようになりました。

SSRIが使われるようになる前の早漏の改善法としては、

  1. 早漏しにくいように気持ちを逸らす訓練をする。
  2. セックスの前に射精を済ませる。
  3. コンドームを重ねて使うことで亀頭部分への刺激を減少させる。
  4. 包茎手術により亀頭部分への刺激を慣れさせる。

などが多く行われていましたが、いずれも大変なものでした。

しかし、SSRIの中でも特に早漏の改善に効用があるとされるダポキセチンがあらわれたことで、今では上で紹介したこれまでの治療法とはまったく変わりました。

  1. 内服薬での投与ができる。
  2. 性行為の直前に服薬できる。
  3. 実効性が優良である。

ことから効果が一番認められる早漏の治療薬になっています。

ダポキセチンは他薬より優れている

有名な抗うつ薬には、使い勝手が良いダポキセチン以外にもSSRIグループに属している、パロキセチン(商品名パキシル)やフルボキサミン(商品名ルボックス)などがあります。

その中でも、SSRIでの早漏の改善に使われることもあるパロキセチンは、海外での治験結果では、被験者グループの治験開始前のIELT(膣内での射精)時間が20秒程度だったものが、パロキセチン20㎎の投薬後のIELT時間は最大90秒に改善されたということでした。

しかし、パロキセチンは服薬のあとに改善がみられないことや、治療の臨床検査でのIELTの改善率も30%以下と期待値を下回る結果であったことから、早漏を治療する薬としてはあまり関心を集めることはありませんでした。

パロキセチン以外のSSRIも早漏の治療薬として使われたこともありますが、IELTの延長は多少あったものの、その効果は限られた内容であったため評価は低いものとなりました。

一方、ダポキセチンには他の薬に比べて使いやすい、以下の特徴があります。

1.早漏の改善効果が良い。
2.投薬後は短時間で効能があらわれるため性行為の前に服薬ができる。

プリリジーの開発経緯

プリリジー(商品名)の主成分であるダポキセチンは、国立生物工学情報センター(アメリカ)の公開文書をみるとアメリカのイーライリリー社が開発していましたが、後にアメリカのファーマシューティカル・プロダクト・デベロップメント(PPD)社と共同で試験・研究を行いました。

その後、PPD社は開発の成功によりダポキセチンの特許を得ましたが、ジョンソンエンドジョンソン社にその権利を売却したことで、2009年にジョンソンエンドジョンソン社の関連会社で製薬関係を行うヤンセン・シラグが世界で最初となる口腔内服用による早漏の改善薬として「プリリジー」の開発を完成しました。

なおジョンソンエンドジョンソン社とは本社はアメリカにある会社で、安全性や品質の高い製品・サービスを届けることに取り組んでおり、消費者向けの薬・医療用の薬及び医療用機器などを取り扱っています。

また、ヤンセン・シラグ製薬の本社はベルギー、ジョンソンエンドジョンソン社グループの医薬品を専門に製薬している会社であり、「がんや免疫疾患 、精神・経疾患(中枢神経・疼痛)またワクチンや代謝・循環器疾患」という病気の医学上の課題に取り組んでいて、世界に200社以上の関係会社をもっています。

ヨーロッパ諸国での承認と今後

ダポキセチン(商品名プリリジー)は、2009年の発売後から革新的な薬として評判になり、世界で最初の口腔内服用による早漏の改善薬としてヨーロッパの国々を中心に次々に認可され販売されていきました。

医薬品の認可とは、公的な立場で医薬品を適正な目的をもって適切に使うために必要とされるものであり、特に慎重な審査を行うためには基礎及び臨床試験や治験などの関係資料や関係する法律に基づいて、その国での認可における薬の効果や安全などの証明が必要になります。

しかし、ヨーロッパでは国によってそれぞれに定められていた認可基準を、人間と動物用の医薬品の評価・承認・管理については、欧州連合(EU)の専属機関である欧州医薬品庁(EMA)が行っています。

また、ヨーロッパの各国が臨床試験の資料などの情報を共有することや審議・審査制度の運用を統一することで、今後は医薬品の認可が急速に広がっていくと考えられています。

日本での承認には時間がかかる

ダポキセチンは現在まで世界のそれぞれの国で治験が行われており、その安全や効果の裏付けなどが証明されていますが、この薬は日本ではまだ認可されていません。

日本では、医薬品などの認可は医薬品医療機器等法に基づいて行われるわけですが、たとえ海外で公に認可を受けて使われている薬であっても国内での使用に関しては、日本において日本人の治験を行いそのうえで認可を得る必要があります。

アジア人の臨床試験の資料があれば一部で認可できるような内容に変更されましたが、変更後の現在でも認可が下りた医薬品はとても少ない数しかありません。

なお承認を受けてない薬は健康保険の対象とならないため、投薬するときの費用は本人負担になります。海外ではもっと以前に認可されている新薬や医薬品なのに、日本では認可が下りるまでにとても時間がかかります。

このことはドラッグラグと言われ多くの異見を受けていますが、日本ではまだ早漏が病気としては認められていないこともあり、現時点では今後認可が下りそうだといった情報はありません。

世界50ヶ国以上で認可と販売が増加

ダポキセチンは、ヨーロッパの各国で安全と有効を認められて発売されましたが、それ以降オセアニア、東南アジア、中米、南米などいろんな国々でも認められて販売されています。

現在アメリカもアメリカ食品医薬品局(FDA)へ認可の申請を行っており、そう遠くないうちに認可が下りると思われます。

2018年時点では、世界の50以上の国々で販売され、延べ数百万の人々に使われていると見込まれています。

欧州医薬品庁(EMA)は、2015年から承認した医薬品の内容を積極的に情報公開しており、医薬品の販売許可申請の際に提出が必要とされる臨床試験の資料などへの利用を許諾しています。
この画期的な方策で、直接関係のない機関による資料解析もできるようになりました。

ダポキセチンの関係資料もこの情報開示のシステムに該当しますので、多くの国々で利用されていくことでしょう。
また、ダポキセチンは口腔内用の早漏の防止薬であるので今後はさらにこの薬の利用者は増えることが予想されます。